スマホで撮った動画9本を、AIに文章で渡したらVlogになりました|Codexとffmpegで作る、編集ソフトを使わない動画制作
スマホで撮った動画9本を、AIに文章でお願いしただけで45秒のVlogができました。Codexとffmpegを使った、編集ソフトを開かない動画制作の流れと、うまくいく指示の書き方6つを、沖縄の個人事業主さん向けにやさしく解説します。

スマホの中に、撮りっぱなしの動画が眠っていませんか??
僕のスマホもそうでした。先月、沖縄から富士山のふもとまで行ってきたときの動画が、9本。BBQの煙、猫がお肉を狙っている顔、朝のコーヒー。どれも自分では気に入っているのに、編集ソフトを開くのが億劫で、ずっとそのままになっていました。
結論から書くと、その9本は動画になりました。編集ソフトは1回も開いていません。
やったことは、AIに文章でお願いしただけです🐾
AIに何を頼んだのか

使ったのは Codex(コーデックス) という、OpenAIが出しているAIです。ChatGPTの兄弟のようなもので、大きく違うのはパソコンの中で実際に手を動かしてくれるところ。

文章を返してくるだけじゃなくて、ファイルを開いたり、ソフトを入れたり、動画を書き出したりまでやってくれます。
僕が最初に打ち込んだのは、こんな一言でした。
動画編集をできるようにしてほしいので、Homebrewでffmpegをインストールしてください。
これだけです。数分後には準備が終わっていて、そのまま素材を渡したら、Vlogが1本出てきました。
じっさいに動いているものを見てみると、こうなっています。
`` ffmpeg version 8.1.2 ``
このバージョン番号を、僕は一度も自分で調べていません。
主役は「ffmpeg」という、無料の裏方ソフト

さっきから出ている ffmpeg(エフエフエムペグ) が、この話のいちばん大事な部分です。
ひとことで言うと、動画と音声をなんでも加工できる、無料のソフト。動画をつなげる、切る、サイズを変える、音楽を重ねる、文字を焼き付ける。世の中の動画サービスの裏側では、だいたいこれが動いています。
ただ、ひとつだけ大きなクセがあります。画面がありません。
普通の編集ソフトのように、タイムラインに動画をドラッグして並べて、という操作ができない。かわりに、こういう呪文のような文字を打ち込んで動かします。
`` ffmpeg -i 01.mp4 -vf "scale=1080:1920" out.mp4 ``
これが、多くの人にとっての壁でした。無料で、高機能で、プロも使っているのに、使い方を覚えるのが大変すぎる。
例えるなら、めちゃくちゃ腕のいい職人さんが工房にいるんだけど、方言がきつすぎて何を言っているか分からない、みたいな状態です。腕は確かなのに、注文の伝え方がわからない。
ここに通訳として入ってきたのが、AIでした。
インストールは、たった1行

ffmpegを入れる方法も、以前は面倒でした。公式サイトからファイルを落として、解凍して、パソコンの設定を書き換えて…という手順が必要だったんです。
今は Homebrew(ホームブリュー) や winget(ウィンゲット) という仕組みがあって、1行で終わります。どちらも「ソフトを入れる係」だと思ってください。スマホのApp Storeの、パソコン版みたいなものです。
Macの方はこちら。
``bash brew install ffmpeg ``
Windowsの方はこちら。
``bash winget install Gyan.FFmpeg ``
そして、ここが今回のいちばんの発見なんですが、この1行すら、自分で覚えていなくていいんです。「ffmpegを入れて」と日本語で頼めば、AIがどちらの環境か判断して、正しいほうを打ってくれます。
もちろん、パソコンの中でソフトを入れる作業をAIに任せるわけなので、何をしようとしているかは画面に出ます。「これを実行していいですか?」と聞かれるので、内容を見てから許可する。そこは人が握っていて大丈夫です。
実際に出した指示、そのまま載せます

ここからが本題かもしれません。素材を渡すときに書いた指示を、そのまま置いておきます。
#サイズ
縦長サイズ(Instagramのストーリーズ用)
1,080 × 1,920ピクセル
縦横比は9:16
※横長の動画は縦長サイズにトリミングして配置してください。
※動画の順番は01.mp4から順番に配置してください。
※各動画の再生時間は約5秒程度にしてください。
>
#タイトル
沖縄から富士山へ。心洗われる旅。
富士山手ぶらでBBQ
1泊2日 運転なし ふもとっぱらキャンプ場
>
#雰囲気
・大自然を感じさせる音楽。
・Vlog風。
>
#伝えたいこと
・那覇から朝出発して、お昼過ぎには富士山の目の前へ。
・早速バーベキューの準備。
・大自然でのお肉は最高!
・心洗われる、贅沢な時間。
・ネコちゃんもお肉を狙ってます。
・雄大な富士山を眺めながら、乾杯!
・朝は美味しいコーヒーでリラックス。
・この日は曇りで富士山は見えませんでした。
・また来ます。待っててね。富士山。
専門用語は、ひとつも使っていません。「scale=1080:1920」も「concat」も書いていない。書いたのは、お店のスタッフさんに口頭でお願いするときと同じ内容です。
この指示が効いた、6つの理由

同じように頼んでもうまくいかない、という話もよく聞きます。上の指示のどこが効いていたのか、分解してみます。
① サイズを数字で指定した
「Instagram用」だけだと、AIは正方形なのか縦長なのか判断できません。1080×1920、9:16まで書いたので迷いようがない。ここは数字で言い切るのが正解です。
② はみ出したときの扱いまで決めた
「横長の動画は縦長にトリミングして」の一文。これがないと、上下に黒い帯が入った動画が出てきます。素材と指定サイズが食い違ったときにどうするかを先に決めておくと、やり直しが減ります。
③ 順番をファイル名で決めた
「01.mp4から順番に」。撮影日時で並べるのか、面白い順にするのかをAIに考えさせないで済みます。撮った時点で名前を振っておくと、ここが一瞬で終わります。
④ 1本あたりの秒数を指定した
「各動画は約5秒」。9本で45秒。ストーリーズにもリールにもちょうどいい長さです。全体の尺ではなく1カットの尺で指定したのがポイントで、素材が増えても減っても、テンポが崩れません。
⑤ タイトルと「伝えたいこと」を分けた
ここがいちばん大きいと思っています。タイトルは画面に出す文字。「伝えたいこと」はテロップの元ネタです。
9個の短い文を並べたので、AIはそれを9本の動画に1つずつ割り当てました。「ネコちゃんもお肉を狙ってます」という文が、猫が映っているカットに乗る。人が並べ替えなくても、順番どおりに置くだけで合うように、こちらが先に並べておいたわけです。
⑥ 雰囲気を2行だけ書いた
「大自然を感じさせる音楽」「Vlog風」。たった2行ですが、これで音楽の方向とカットのテンポが決まります。長々と書かないほうが、かえってブレませんでした。
できあがったもの
45秒のVlogになりました。よかったら覗いてみてください。
https://www.instagram.com/reel/DcFW7JeT44u/
自分で編集ソフトを開いていたら、たぶん3時間はかかっています。というより、3時間かかると分かっているから、いつまでも手をつけなかったというのが正直なところでした。
BGMだけは、気をつけてください

ひとつ、正直に書いておきたいことがあります。
音楽の出どころだけは、AIに丸投げしないでください。
映像や文字と違って、音楽には権利があります。手元にあった曲をそのまま乗せると、Instagramで音だけ消されたり、投稿が制限されたりすることがあるんです。せっかく作ったのに、と悔しい思いをします。
安全なのは、この2つ。
- Instagramのアプリ内で音源を付ける(アプリが用意している曲を使う)
- 自分で作った曲を使う
2つめが、じつは今いちばん現実的になっています。AIで曲を作れば、はじめから自分のものなので、権利の心配がありません。
うちでも、そうしました。別の登山Vlogでは、「なんくるにゃいさ〜」というオリジナル曲をAIで作って、そのまま動画に乗せています。沖縄の言葉に猫を混ぜた造語で、いつだって挑戦していい、という気持ちを込めた曲です。
https://www.instagram.com/reel/Dc-O5blz1bC/
映像はCodexとffmpegで、音楽はAIで。そう分けてみると、「借りてきたもの」がひとつもない動画ができあがりました。これ、地味にすごいことだと思っています。誰の許可もいらないし、消される心配もない。何年経っても自分のものです。
曲づくりのほうのやり方は別の記事にまとめてあるので、そちらもどうぞ。
向いていること、向いていないこと

正直なところを書きます。
向いていること
- 撮った順に並べるだけのVlog、旅の記録
- 商品の紹介、工程の記録、ビフォーアフター
- 同じ形で毎月作る、定型の動画
- とりあえず1本、形にしてしまいたいとき
向いていないこと
- 音楽のリズムにぴったり合わせたい動画
- 「ここでもう0.3秒だけ引っ張りたい」という細かい詰め
- 表情や間を見て、カットを選び直したいもの
ざっくり言うと、段取りが決まっているものは得意で、感覚で詰めるものは苦手です。
なので、うちでも全部をAIに任せているわけではありません。お客さまのお店のPR動画のように、1秒の間が印象を左右するものは、人が手で詰めます。かわりに「素材を並べて、形にするところまで」をAIに任せて、空いた時間を詰めの作業にまわす。今のところ、この分け方が気持ちよく回っています。
まとめ|眠っている動画、1本だけ試してみませんか

技術の名前がいくつか出てきましたが、覚えていただきたいのは3つだけです。
- ffmpeg … 動画をなんでも加工できる無料のソフト。ただし画面がなくて難しい
- Homebrew / winget … それを1行で入れてくれる仕組み
- Codex … 難しい部分をぜんぶ肩代わりして、日本語で受け取ってくれるAI
そして、指示を書くときのコツはひとつ。専門用語を使おうとしないことです。
「サイズはいくつ」「順番はこう」「1本何秒」「伝えたいことはこの9個」。スタッフさんにお願いするときと同じ書き方で、ちゃんと伝わります。むしろ、なまじ専門用語を混ぜたときのほうが、思っていたのと違うものが出てきました。
スマホの中に、いつか編集しようと思ったまま眠っている動画、ありませんか?
まずは1本、渡してみるところからで大丈夫です。うまくいかなくても、素材は減りません🐾
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「素材はあるけど、どう頼めばいいか分からない」という一言から、お気軽にどうぞ🐾
この記事はデザネコ(https://d-neko.com/)が執筆しました。沖縄を拠点に、開業1〜3年目の個人事業主・中小企業オーナーのデザイン・販促・集客をサポートしています。