93歳のおばーが、もう一度マイクを握った日|夢叶える国頭バスツアーにスタッフとして参加してきました
「93歳のおばーの夢、もう一度バスガイドを」。最初に聞いたときは、びっくり!8月12日、国頭村で開かれた『南の島のおばーの夢叶えましょうね! 夢叶える国頭バスツアー』に、スタッフのひとりとして参加してきました。県内外から43人。マイクを握った吉子おばーちゃんの声と、鳴りやまなかった拍手のことを書いています。

「93歳のおばーが、もう一度バスガイドをやる」
『南の島のおばーの夢叶えましょうね! 夢叶える国頭バスツアー』。主催は、おばーの夢叶え隊プロジェクトの大田浩之さん。運営のお手伝いを「悠久の旅 沖縄」さんが務められていて、僕もスタッフのひとりとして、この一日に参加してきました🐾
夢は「もう一度、大好きな国頭村を案内したい」
主役は、大田吉子さん。93歳です。
若いころ、バスガイドさんをされていた方でした。国頭村で生まれ育って、村のことを、村の言葉で、たくさんのお客さんに伝えてきた方。
その吉子おばーちゃんが、こんな願いを口にされたそうです。
「もう一度、バスガイドとして、大好きな国頭村を案内したい」
願いを受け取ったのが、お孫さんの浩之さんでした。おばーの夢叶え隊プロジェクトとして仲間を集めて、バスを手配して、村の方々に声をかけて。「いつかね」で流されてもおかしくなかった一言が、ちゃんと日程と行程のある、ほんもののツアーになっていきました。
正直に言うと、ここがいちばん、僕がすごいなあと思ったところです。
願いって、口に出したところで止まってしまうことがほとんどじゃないですか。それを「じゃあ、いつにしましょうね」まで運んだ人がいた。夢が叶ったのは、吉子おばーちゃんが強く願ったからだけじゃなくて、その願いを本気で受け取った人がいたからなんですよね。
8月12日、集まったのは県内外から43人
実施したのは、8月12日。集合場所は、道の駅「ゆいゆい国頭」です。
ここから貸切バスで、村をぐるりと巡る行程です。参加してくださったのは、県内外からおよそ43人。沖縄本島の方はもちろん、県外から飛行機で駆けつけてくださった方もいらっしゃいました。
準備の段階では、台風の影響もあって、日程の組み替えが必要になる場面もありました。バスも、宿も、受け入れ先も、ぜんぶ日程とつながっています。ひとつずらすと、全部ずれる。裏方の皆さんが何度も電話をかけ直している姿を、そばで見ていました。
だからこそ、当日の朝、駐車場にバスが停まっているのを見たときは、スタッフ全員が少しだけ、ほっとした顔をしていた気がします。
マイクを握った瞬間、車内の空気が変わった
バスが動き出して、吉子おばーちゃんがマイクを持ちました。
途中では、村の歌も歌ってくださいました。自然と手拍子が起きて、車内が一気にあたたかくなって。
おばーの笑い声に、みんな笑顔になる、ステキなバスの空間でした。
辺戸岬で、村の映像を見る
行程には、辺戸岬も入っていました。
観光案内所では、村の記念映像を上映していただきました。
この映像、ナレーションを担当されているのが吉子おばーちゃんなんです。
画面の中から声が流れて、その声の主が、すぐ横の席に座っている。なんとも不思議な時間でした。
ほかにも、オクマのビーチのあたりを回ったり、海沿いの景色を眺めたり。夏空がしっかり出てくれて、青が濃い一日でした。
拍手が、なかなか鳴りやまなかった

いちばん忘れられないのは、村の施設で開いた会の場面です。
正面の机に、吉子おばーちゃんが座っています。その横には、おばー手作りの紙芝居。まわりを参加者の皆さんがぐるりと囲んで、椅子が足りずに立っている方もたくさんいました。
紙芝居が終わるとそこで起きた拍手が、なかなか鳴りやみませんでした。
握手の列ができて、記念写真を撮って、また拍手。僕は会場のうしろのほうで、機材のそばに立ってその様子を見ていたんですけど、ちょっと目のあたりが熱くなってしまいました。
うれしいことに、この日いちばん笑っていたのは、たぶん吉子おばーちゃん本人でした。
スタッフとして立っていて、考えていたこと
僕はふだん、チラシやロゴや、ホームページを作る仕事をしています。バスツアーの運営とは、まったく別のお仕事に見えますよね。
でも、あの日ずっと考えていたのは、根っこはそんなに変わらないなあ、ということでした。
デザインの仕事も、誰かの「こうしたい」を、人に届く形にする作業なんです。頭の中にある「こんなお店にしたい」を、看板やチラシという手に取れるものに変える。それだけの話だったりします。
今回は、その形が「ツアー」だった。マイクとバスと行程表が、想いを届けるための器になっていた。そう思いました。
そしてもうひとつ。器を作るには、必ず人手が要ります。
村の観光協会さん、役場の皆さん、案内所の皆さん、バスの運転手さん、受付に立った方、写真を撮った方。ひとりの願いを叶えるために、こんなに多くの手が集まるんだなあと。これは、事務所の中で画面と向き合っているだけでは、なかなか実感できないことでした🌿
新聞にも大きく載りました
この取り組み、新聞にも取り上げていただきました。

- 沖縄タイムス 8月22日 朝刊17面「しましまトピックス」
- 琉球新報 8月27日 朝刊18面
沖縄タイムスさんのほうは「93歳 バスガイドに『復帰』」という大きな見出しで、吉子おばーちゃんがマイクを握って笑っている写真も載っています。実物を手に取ったとき、あの日の車内の空気が、そのまま紙の上にありました。
丁寧に取材をして、多くの方に届けてくださった報道の皆さまにも、あらためて感謝を申し上げます。
関わってくださった皆さまへ
最後になりますが、お礼を。
ツアーを最高の一日にしてくださった参加者の皆さま。運営にご協力いただいた一般社団法人国頭村観光協会さま、国頭村役場さま、辺戸岬観光案内所さま。
車内をずっと笑顔で満たしてくれた大田吉子おばーちゃん。そして、この挑戦を最初から最後まで引っ張った主催の大田浩之さん。
素晴らしい一日に立ち会わせていただいて、本当にありがとうございました。
にふぇーでーびる。
「いつかね」を、今してみませんか
帰りのバスの中で、僕はずっと同じことを考えていました。
うちの母は、何をしたいんだろう。僕は、何を「いつかね」で流したままにしているんだろう。
夢って、大げさなものじゃなくていいんだと思います。もう一度あの浜に行きたい、昔働いていた場所を見たい、あの人にもう一度会いたい。そのくらいのことが、たいてい叶わないまま置いてあったりします。
叶えるのに必要なのは、たぶん気合ではなくて、今を決めてくれる誰かなんですよね。今回でいえば、それが浩之さんであり、バスを走らせた「悠久の旅 沖縄」さんでした。
▶ 悠久の旅 沖縄(沖縄県知事登録旅行業 第3-508号)
貸切バスや旅の相談は、電話 0120-777-776(平日10:00〜17:00)でも受け付けているそうです。
ご家族の夢を叶えませんか?
心当たりがある方は、まず日にちだけでも決めてみるのはどうでしょうか。あの日の拍手を思い出すたび、そう思います🐾
この記事はデザネコ(https://d-neko.com/)が執筆しました。沖縄を拠点に、開業1〜3年目の個人事業主・中小企業オーナーのデザイン・販促・集客をサポートしています。